事件の経緯と内容
大阪市在住のSさんが、建築物の解体現場にて清掃作業に従事していたところ、解体中のコンクリートブロック塀が崩壊しました。崩壊したコンクリートブロック塀は清掃作業中のSさんに向かって落下し、Sさんは数百㎏もの重さのコンクリートブロックの下敷きになりました。
この労災事故により、Sさんは、右脛骨腓骨開放骨折(みぎけいこつひこつかいほうこっせつ)、左脛骨近位端骨折(ひだりけいこつきんいたんこっせつ)、左肋骨多発骨折(ひだりろっこつたはつこっせつ)等のお怪我を負い、右下腿の開放骨折は感染症の恐れがあったため、切断することとなりました。
ご相談・来所された経緯
重傷を負ったSさんを心配したご親族が当弁護士事務所に相談され、Sさんから正式に労災保険への後遺障害申請手続きと、元請業者に対する損害賠償請求について委任を受けました。
後遺障害併合4級認定により障害年金の受給が可能に
Sさんは義足を作成し、リハビリに取り組みましたが、右下腿欠損部のしびれや、義足使用時の痛みが後遺障害として残りました。また、左脛骨近位端骨折に関しても、手術を受けて骨折箇所をボルトで固定し、リハビリに励んだものの、痛みやしびれ、動作時痛などの後遺障害が残り、歩行や階段昇降が困難となりました。
当弁護士事務所は、右下腿欠損は第5級の3「1下肢を足関節以上で失ったもの」、左脛骨近位端骨折後の痛み・しびれは第12級の12「局部にがん固な神経症状を残すもの」に該当し、Sさんの後遺障害は併合4級に当たると主張、労災保険に後遺障害の申請手続きをとりました。
労災保険からは、当弁護士事務所が主張したとおり、併合4級の後遺障害等級が認められ、Sさんは障害年金の支給を受けられるようになりました。
仕事への復帰が困難であったSさんにとって、生涯に渡って定期的に受け取れる障害年金の存在は心強いものとなりました。
元請業者の安全配慮義務違反が認められ、将来介護費用等を含む総額3,200万円で解決
労災保険からは等級認定と補償を受けることができましたが、その一方で元請業者からは十分な補償を受けられていませんでした。
Sさんの後遺障害による日常生活への影響は甚大で、さまざまな場面でご親族の介助を必要としました。また、義足などの装具を定期的に買い替える必要があり、その費用も高額になることが見込まれました。
当弁護士事務所は、将来介護費用や将来の装具代を含めた損害賠償金額を元請業者に請求しましたが、元請業者からは、「賠償責任を問われるような立場にない」と回答されました。そのため、当弁護士事務所は、元請業者を相手取って裁判所に損害賠償請求事件を提起しました。
訴訟提起後も、元請業者の代理人は、元請業者とSさんとの間には指揮命令関係が存在しないため、Sさんに対して安全配慮義務を負わない等と主張し、真っ向から意見が対立しました。
当弁護士事務所は、Sさんから現場では誰の指示に従い作業していたかなど当時の様子等を事細かに聴取。そのほか、刑事記録の内容を精査しました。
Sさんから聞いたお話や、刑事記録の記載内容をもとに、元請業者とSさんとの間には間接的に指揮命令関係が存在したことを指摘、元請業者が危険を防止するための対策を怠っており、必要な安全配慮義務を果たしていなかったことを主張しました。
双方の主張を受けた裁判所は、元請業者の安全配慮義務違反を認め、将来介護費用や将来の装具代等を含む 3,200万円で和解に至りました。
業務中の災害の場合、安全配慮義務違反など会社側に落ち度が認められるようなケースでは、損害賠償金を請求できる可能性があります。「労災保険からお金を支払ってもらえたから…」と、それだけで満足していないでしょうか。
労災事故によるお怪我の後遺障害でお困りの方は、当弁護士事務所にご相談ください。
文責 プロスト法律事務所 弁護士 林 征人
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